Obama Health Care の最近の動向をまとめておきます.
下記の引用原文は,主な動きを伝えていますが,最近の重要な動きとして,アメリカのカソリック教会のBishop が女性の避妊,妊娠中絶に関わって,Obamaを宗教の自由を保障したアメリカ連邦憲法に違反すると厳しく批判したことが報じられています.
Obamaは,2008年選挙では,カソリック教徒の過半数をかなり上回る得票に支持されていましたから,軽視できない問題です.
下記の引用に見るように,保険の完全実施は2014年からですが,既に,連邦政府の事前準備が,一部の法律反対の州を除いて,徐々に進んでおり,医療界でも,中小病院が大規模病院に吸収される動きが強まっています.また,
法律がすべてのアメリカ人に民間保険の購入を義務づけ,違反者からは罰金を取るという形ですから,保険会社で従来は既往症,特にガンなど死亡率の高い既往症歴のある者は「お断り」だったモノが,その拒否項目を外す動きが早まっています.それは,日本に進出しているアメリカ保険会社のTVコマーシャルを見ていても分かる通りです.
日本の「税と社会保障の一体改革」という曖昧模糊とした政治宣伝にも影響を持つモノとしては,アメリカ政府が,せっかく難産の末に成立したHealth Care Act から,あっさりとLong-Term Care Insurance(ほぼ日本の介護保険に相当)を,財政的負担が大きく,かつ実際に機能させるのはきわめて困難だとして削除してしまったことがあげられます.
日本の介護保険も,来年度から,保険料が6,000円を超えるのではと報じられていますが,それは年金受給者にとっては実質的な年金給付引き下げというべきです.
介護保険を巡っては,日本の介護保険料支払者は40歳以上ですから未だ徴収率が良い方ですが,本来の社会保険が危険を広く分担するモノという概念からすれば,当然,若年者からも徴収すべきモノです.
それが,実態として,国民年金の保険料徴収率が60%を下回るほど低迷していますから,給与から天引きできるサラーリーマンに期待して40歳以上に押さえた経緯があり,政府が社会保障改革の内容を公表したがらない,ないしは,できない,ひとつの要因となっています
私は,初めから,介護保険を医療保険と別立てにすることには反対してきており,その立場には変わりはありませんから,アメリカが昨年年10月になってLong-Term Care Insurance をカットしたのは適切な判断だったと思います.
ドイツの制度は,各州の負担である公的扶助から介護保険制度を分離独立させたモノでしたから,Medicare, Medicaid のあるアメリカや既に国民皆保険制度があり,生活保護から独立した老人福祉法も制度化していた日本にとって,さらに横割り縦割りに屋上屋を重ねる「介護保険制度」の必要性があったとはまったく考え難いのです.
政府が年金制度を一元化するといい,序でに,最低保障年金を制度化するといっていることには,その内容が未だ不明で,私が主著「選別的普遍主義の可能性」で論じたモノにどれだけ近いかを計りがたいので,その点を見極めてから論じたいと考えていますが,せっかく年金制度の一元化を図るなら,介護保険を医療保険に一本化して,医療保険制度も一元化すべきでしょう,